お寺の伐採が続いたある日、
今回の相手はこれだったよ、と大量のムクロジの実を渡された。
ムクロジは泡立つらしいということだけは聞いていたので、
さっそく台所で実験!
漆にも似た葉は取り除き、べたべたする実をおろし金ですりおろす。
ちょっぴり水を垂らして、手の中でくるくる回すと、
「本当だ~!」 泡立ってくる!
気持ちは石鹸の泡立てと同じなのに、
全くヌルヌルしないのが全然違うところだ。
今度は実を大まかに3つ割りにしてボールの中へ入れ、
少し水を足して泡だて器でシャカシャカ混ぜてみると・・・・
「おおー!角が立つほど泡立った~!」
もう、すっかり童心に返り大興奮である。
調べてみると、
果皮にはサポニンが含まれ、昔は石鹸代わりに使われていたらしい。
油に汚れた布や、灯明の煤汚れも落としていたというから、結構な洗浄力に驚く。
たったの2,3個でも十分に泡立つので、
日々の洗濯や洗髪、生活用品を洗うのにもそれほどの労力をかけずに利用できていたのだと思う。
秋になると、この緑色の果皮が薄く黄色くなり、中の種は黒光りするようになるらしい。
何かに使えないかな。
丸い実を見ているとそんな気持ちになってくる。
昔の人もそう思ったに違いない。
この種は羽根つきの「おもり」の部分にされたり、
数珠に使われていたというから、
道理で! お寺に植えられていたわけだ。